プラグイン Post6WidgetArea 作成ステップ1

記事の前後に広告、ソーシャルボタン、定型文等を入れるためのウイジェットエリアを追加するWordPressプラグインを作成しました。

ウイジェットエリアは、ドラッグドロップで簡単に追加、削除、並べ替えが出来るので扱いやすいし、工夫次第でかなりなことができます

追加するウイジェットエリアは6箇所です

  1. ホーム/固定/投稿記事/アーカイブページエリアのスタート部
  2. 投稿記事本文の前(タイトルの後ろ)
  3. 投稿記事中でショートコードで指定した位置
  4. 投稿記事本文の後
  5. ホーム/固定/投稿記事/アーカイブ記事エリアのエンド部(コメントの後)
  6. HTML <head> 要素内(Wp_head()の前)

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以前、記事前後部のウイジェットエリア作成 で紹介したものに機能を加えてプラグイン化しました。このプラグインでは、ウイジェットエリアを設けるだけですので、これだけでは何も出来ませんが、ウイジェットエリアにテキストウイジェットを用いて、コードを挿入することを想定しています。また、PHPコードを実行させるには、別途「Executable PHP widget」プラグインを導入して頂ければ PHP Code ウイジェットを用いることで実行出来ます

WordPressやPHPプログラミングの勉強を兼ねてプラグインを作成していますので、簡単に今回学んだ内容をまとめておきます。

プラグイン作成準備に関しては、下記記事を参照して下さい
PHPテスト環境(XAMPP)
NetBeans 7.3でPHP開発環境を構築
WordPress初めてのプラグイン作成(NetBeans 7.3)
WordPress Codex プラグインの作成

プラグイン動作に必要なフックを設定

プラグインは、WordPress上での何らかのアクションやデータ処理等をきっかけに動作します。従って、プラグインを作るには、まずアクションフックとフィルターフックを調べる必要があります

WordPress Codex プラグイン API/アクションフック一覧
WordPress Codex プラグイン API/フィルターフック一覧

今回のプラグインはウイジェットエリアを追加するプラグインです。
ウイジェットエリアの登録と実行は3種類の方法を用いています

以下、処理毎に使用したフック処理を記述します

ウイジェット登録
種別 フックポイント 内容
アクション widgets_init ウイジェット初期化時のアクションにフックして、追加するウイジェットエリアを register_sidebar 関数で登録します
ウイジェット実行
アクション wp_head ページの <head> 要素内で使われる wp_head 関数にアクションフックして dynamic_sidebar 関数でウイジェット実行
アクション loop_start ページスタート部(最初の WordPress ループが処理される前)にアクションフックして dynamic_sidebar 関数でウイジェット実行
フィルター the_content 記事本文のコンテンツデータにフィルターフックして、その前後に dynamic_sidebar 関数でウイジェット実行
ob_ start ,ob_ get_ clean を使用して、元データにバッファリングしたデータを付加
ショートコード 登録キーワード 記事本文中に add_shortcode で登録している [登録キーワード] 形式の文字列があれば、ショートコードとして扱われ、そこに dynamic_sidebar 関数でウイジェットを実行して、バッファリングデータを出力
アクション loop_end ページエンド部(最後のWordPressループが処理された後)にアクションフックして dynamic_sidebar 関数でウイジェット実行

※フックポインタは、ソースコードを見て使えそうなポイントを探すわけですが、適当なポイントがない場合もあります。
テーマによっては、多くの場所にフックポイントを設けている場合もありますが、そのようなポイントを使用すると使用テーマに限定されてしまうので、TwentyEleven, TwentyTwelve 等のデフォルトテーマで使えるポイントを使用します

※アクションフックは、複数回呼び出される場合があります。思わぬところで呼び出されても問題ないように、実行後は remove action でフック解除しておきます

管理画面へ設定画面を設ける

WordPress Codex 管理メニューの追加 を参考にして、定石に従って記述していきます。そうすれば、WordPressがオプションの作成、更新、保存処理等を自動的にサポートしてくれます

オプション設定画面登録
種別 フックポイント 内容
アクション admin_menu 管理画面メニューの基本構造が配置された後にフックして、add_options_page で設定オプション画面を管理画面へ登録します
これでメニュー選択時に、登録したオプション設定画面が表示されるようになります
アクション admin_init 管理画面各ページの最初(ページがレンダリングされる前)にフックして、register_setting でオプションデータの登録を行います

使用関数と引数について少しだけ説明

add_options_page 関数
$page_title メニューページの head 要素の title タグ
$menu_title 管理パネルの設定メニューの名称
$capability manage_options 管理パネルの設定へのアクセス権限
$menu_slug __FILE__ メニューを参照するスラグ名にファイル名のフルパスを使用
$function オプション設定画面(HTML/PHP)構文の実行関数

register_setting 関数
$option_group 設定グループの名前(settings_fields関数の引数で使用)
$option_name グループに登録するオプション名(input要素などのname属性で使用)
$sanitize_callback オプション値をサニタイズするコールバック関数(セキュリティ)

オプション設定画面の操作

設定ページの作成 を参考に定石に従って記述

1.option.php 記述

<form method="post" action="options.php">

2.settings_fields 記述

<?php settings_fields('post6widget_optiongroup'); ?>

オプションフォームのセキュリティの為に使用し、オプションの一意のグループ名によりフォームの内容が現在のサイトから来たものであることを認証します

3.オプションデータ取得

get option でオプション値を取得します

4.オプションデータ表示

取得オプションは、$option[‘home’] のように連想配列で操作出来ます

チェックボックスやテキスト入力では次のように記述します

<label><input type="checkbox" name="post6widget_option[home]" value="1" <?php checked( $option['home'], 1 ); ?>" /> ホームページ</label><br />
<label>ショートコード名称:<input type="text" name="post6widget_option[shortcode]" value="<?php echo $option['shortcode']; ?>" /></label>

5.オプションデータの更新

<input type="submit" name="Submit" class="button-primary" value="<?php esc_attr_e('Save Changes') ?>" />

get_option()関数により取得したオプションフィールド値は、設定が保存されるときに “options.php” により自動的に更新されます

プラグインの削除

プラグインを削除するときをフックして、設定で使用していたオプションデータを削除します

register_uninstall_hook

delete_option

register_uninstall_hook 関数

$file プラグインファイルパス

$callback プラグイン削除時に呼び出すコールバック関数

delete_option 関数

$option 削除するオプション名を指定

ダウンロード

初めて作成したプラグイン Post6WidgetArea です

よろしければ自己責任ということで使ってみて下さい

確認した環境は、WordPress3.5 です

テーマは、TwentyEleven, TwentyTwelve, Responsive の3つのテーマで動かしてみましたが、テーマによっては、動作しない可能性もあります

ソースコードも今のところ200行程度ですので、見てもらえれば変なことはやっていないことはわかっていただけると思います

2013/3/20 Version 0.1.0 日本語専用のテストバージョンです

ダウンロードした zipファイルを解凍して出来た Post6WidgetArea フォルダを、FTP等を用いて、WordPressの /wp-content/plugins/ フォルダにアップロードしてください。アップロードしたら管理画面から有効化すれば使用することが出来ます

2013/4/9 プラグインを公式サイトに登録しました

下記サイトから最新版をダウンロードすることが出来ます

http://wordpress.org/extend/plugins/post6widgetarea/

また、説明が https://celtislab.net/wp_plugin_post6widgetarea/ にあります

よろしければ試してみて下さい

最初のプラグインを作ってみた感想

まず、PHPにもう少し慣れる必要があります。

スクリプト系言語では一般的ですが、変数等に型がなく、宣言の必要もないので、早くこの流儀に慣れるためにも、いろんなソースコードを読み、高機能な文字列や配列処理の定石を覚える必要がありそうです。

変な書き方をしないように定石は大事ですから (^_^;)

また、PHPには、グローバルスコープとローカルスコープしかないそうです

ブロックスコープが存在しないので、グローバルスコープでは、名前の衝突を常に気にする必要があるので、プラグイン作成の基本はクラス化する必要がありそう、現時点ではまだ使っていないので次のステップで行います

いろいろ調べながら見よう見まねで作ってみましたが、最初としては意外とすんなり行き、なかなかおもしろかったです

今後の予定としては、PHPとWordPressを勉強しながら機能アップしていく予定です

次のようなステップをふめればと思っています

  1. 固定ページで除外するIDを設定出来るようにする
  2. クラス化して書き換える
  3. 国際化対応について調べる
  4. 公式サイトで公開する

まだ先は長いですが、一歩一歩進めて行きます (^^)


まとめ記事紹介

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